俺に似て

雌雄に分かれるまでは  みんな自分をもう一人つくった。
 ひとつが ふたつ ふたつが四つ 四つが八つというふうに ふえた。
 何かの拍子に  と  に 分かれる種族ができて  これもまた  どんどんふえた。
 別にどっちの方法が優れていたかはしらないが  どっちも地球上に広がった。
 その仲間から ヒト ができた。
 ヒトの♂ と ♀は互いに半分ずつ DNA をだしあって 新しい命を作る。
 二本の螺旋は設計図だという。
 男が半分、女が半分、命の始りを作った。その後、女は母と呼ばれ
 たった一つの受精卵を守り抜く者となった。
 男というのはたった一つの細胞の始まりの契機であったが、
  DNAの設計図により
 女は
 将来6兆個にもなる人の細胞の殆どを作った。
 私は思う。親だというてみても  この 事実からし
 男は 母という名を持つ 女に 遠く遠く及ばない。
 子供というのは99・999パーセント 母の命を基としている。
 子供と対する妻を見ていると、とてもあそこまでにはできないと
 思うことが数え切れないほどあった。
  女には、母には とてもかなわないと思う 30年であった。
  誰もみな 母なるヒトの 無条件の 献身あればこそ 
  今を生きることができていると思う。
  男であることは ショウショウ 寂しいことなのだ。[やや欠け月]
 ただひとつ 息子も 娘も 俺に似ている と 思う。
 それで十分