若き日
あなたと同じ汽車に乗った
話は少し  
何を話したのだろう おぼえてはいない
雨に傘をさして ともに 歩いたこともあった
話は少し
それで十分だった
今思えば 不思議な日々
一年ほどの間のこと
私は私で  あなたはあなたで
何かしら 別れを 予感していた
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40年の歳月が流れ
会うこともなかった 
 それでも  あなたの微笑を  わたしの 心の奥底から消し去ることは出なかった
白髪頭の私は
今 一人 古い ふるさとのペンキの臭いのする
古いまんまの駅へ向かっている
そこへ行けば  猫背の爺さんに
若い日 あなたが後ろから  偶然に そこへ来たようなふりで
おはよう
と言ってくれるかもしれない   などと  ありもしないことを  おもうて
と こんなことを夢想しているところへ
ねえ、あんた 不燃物の日やから  もってって。」「あんたの飲んだ缶ビールのからでいっぱいや。」
と 山ノ神 の ご神託。
 ワタシハワレニカエッテ  オツトメヲ ハタスノデス