んまのおらん時

平成25年3月31日
時々、ふと、思い出す会社員時代のこと。
 30年位前、当時、私の先輩で松〇という方がいた。夜,布団の中で彼の話したことをふと思い出した。どうということもない話だったが印象に残っているのか、年に一回くらい思い出しているような気がする。
 以下はその話のあらまし。
 「高卒で入社し、10年して昇格した。役職名は主任。のちに副社長となる中崎さんから昇格の辞令を受け取った。その辞令を渡すに際し中崎さんはこう言った。『んまのおらん時のうしやおもわんな。(※)』。
 昔の人はこうして若いものを注射しておく様にしたのだ。」
 これは今から35年位前の話であろう。
 IT革命という頃になると こういった辞令を渡すというやり方はなくなり、パソコンを覗いて人事発令というのを見るようになった。そんな面倒で人手もかかるやり方は非効率であるというのだった。人事で書いた内容が全国で同時に見れるのだからわざわざ渡さなくてもいいだろう。  というのだ。
 「んまのおらんとき・・・・・」と言って渡す、
 相手の顔を見て辞令という紙に筆で名前を書いた厚紙を手渡す儀式は
 そんなこともあったか という過去のことになった。
 それを実現したのは電子化という時代の流れであった。
 ただ、そんなことまで無くしていいのかという思いは今でも持っている。[眼鏡]
   
  ※ んま(馬)のいない時の牛 ;今はどうか知らないが昔の高岡地域で語られる例えだと思う。
    意味は多分 今ほしいのは馬だが、いないので仕方がないから牛を使うことにする。
     ・・・こうして慢心をいさめたのだと私は思っている。
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