青年との会話

9月29日(日)

 早朝、畑の草むしりをしていて、ふと目を上げたら 見知らぬ青年が頭を下げた。
 すらりとした背は高めの韓流スターふうの顔立ちだ。
イメージ 1

 
 おはようございます。

 おはようございます。

 ニコニコしながら近づいてくる。
 「草取りしているのですか。」という趣旨のことをきく。

 私は立ち上がり そうだと答える。
 そこから、会話は始まった。
 
 言葉が 少々たどたどしいので もしかしたら 聞いてみた。
 近くに住む 中国からの 研修生だ。

 「おじさんが野菜作るんですか?」
 「そう。」
 「ここ、いいとこですね。」
 「そうかい、出身はどこ?」
 「雲南省です。」
 「これなにつくってるんですか?」
 「これは大豆。」
 「大豆?」
 「豆のこと。」
 「ああん。」

 こんな風にして 時々、何を言ってるか分からないときもあったが 会話が続く。

 「年はいくつ?」
 「19です。 あと 4日で はたちです。」
 「おじさんは?」
 「62」
 「中国では30代のこうはんで 皆、おじさんみたいなかんじです。」
 「おじさんじゃないよ、爺ちゃんだよ。」
 ・・・・・・ あとで言わねばよかったと思った。彼はそのあと私に語りかけるときに冒頭に「爺ちゃんは・・・。」、 「爺ちゃんは・・・。」と連発しだしたのだった。
 「日本語大分うまいね、いつ来た?」
 「ああ、6月。会社には日本の人一杯で喋らないといけないので。」
 「へえ、3ヶ月でこんなに喋れるようになるのか?」
 「ああん、それと学校のとき ちょっと日本語の授業ありました。」

 ・・・・・・ 英語教育がどうのこうのといってる位なら英語が勉強したいと思っている子供をポンと外国へやれば、半年も居れば日常会話くらいできる様になるんじゃないのかなと 彼を見ていて思った。もちろん、国費でだ。
 中国の義務教育?で日本語の授業もあるようです。

 会話の最中に、我が家の 白猫が近寄ってきて 畑におりた。
彼は にっこりして 
 「白い綺麗な猫ですね。」
 「ウチの猫で、畑へよくついてくる。」
 
 「雲南では雪は降る?」
 「ああん、生まれてから3回しか見たことありません。」
 「一年中、春みたいです。 日本は四季がありますね。」
 
 「ここは、12月終わりごろから、3月のはじめまであるよ。」
 「そしたら、この猫は雪降ったら外へ出るんですか。」
 「よく出るよ。」
 そしたら かれは 楽しげに笑いながらこういった。

 「すると、白い雪の中で この猫はどこに居るか分からなくなる!」

・・・・・・・・・・・・ 積雪の経験がない青年が白の中に黒目だけが見えるを想像したのかもしれない。
 [ここいいですね、日本が好きです。中国より好きかもしれない。」
 「家族は?」
 「ああ、雲南の村に両親と弟が居ます。」
 
 立ち話の横を 私より年上と思われる人がジョギングして通り過ぎていった。
「日本人凄いです。年取った人が走るなんて凄いです。ジョギングしますか。」
「時々するよ。」

「凄いです。」
感心した目つきで
「爺ちゃんは、すごいです。」

・・・・・・・・ ああ、もういやじゃ、爺ちゃん、爺ちゃんと ・・・・・・・

彼はなかなか立ち去ろうとしない。
私と話がしたいらしい。多分、このあたりの人と会話するのが初めてなのだ?

しかし、私は腹が減ってきた。もし彼が若い綺麗な女性であったらまだそうして居たかっただろうが男の子では 少々飽きてきた。

 飯の時間だからといって 彼と別れた。

・・・・・・ 素朴な人懐っこいその青年と 何気ない会話をした朝 。私は少し気持ちが軽くなったような記がした。