追想 ノムラ君

平成29年6月10日。土。 雨
 
 新聞は大きい字(見出し)と、野球と、死亡欄くらいしか見ないようになった。
 とっているのが地方紙のk新聞でネットの時代になったせいもあるからだろうか
 年齢のせいもあるからだろうか
 長くても15分もすれば読み終えてしまう。

 その様な新聞斜め読みの朝、5日前の死亡欄に
「ノムラ○○、62 喪主、兄 ノムラ□〇  (葬儀は終わりました)」とあった。

 まさかと思ったが
 翌日、たまたま知人にそのことを話せば 間違いないようだ。

 かつて私と同じ会社に勤めていたノムラ君。
 20年以上、頭の片隅にもなかった彼のことが思い浮かぶ。

 ・・・・
 自転車に乗れなかったこと
 私の家の背戸をいつも歩いて通勤したこと
 小柄で眼鏡をかけ、瘦せていたこと
 パチンコが好きだった?こと
 独身だったこと
 前歯がなかったような
 高い声でゆっくりと話したこと
 悪意を持って人と接する人ではなかったこと
 
 仕事はたぶん重要なところはさせられていなかったこと

 エリートとして出世競争に生きる人とは対極の存在

 会社が不調だったころリストラされたんでなかったろうか?
 ・・・・・・・・・・
 
 近頃は今日は何日か?ということさへわからないことが多いがなぜか結構はっきりと彼のことが思い浮かんできた。
 

あわせて
 こいつは少し足りないな と 内心小ばかにしていた自分自身の愚かさも思い出してしまった。

 なんで死んだかは知らないが、
 さだめかもしれないが後輩にあたる人が先になるのは可哀想に思う

 まだ生きている私は
 この数日、ふっと彼を思い出す。
 人それぞれに一度の命、最後は心穏やかに終えてくれたであろうか。
 
 手を合わせる。(-"-)